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医療情報
●お父さん、お母さん、ご家族の方の公的補助が受けられる風疹抗体検査について(2019.7.23)
●今こそ成人の方は麻疹風疹ワクチンを!!(過去に1回しか受けていない方、何回接種したか分からない方は是非ワクチンを受けましょう!)(2018.9.27)
●風疹の流行に注意が必要です!(2018.9.27)
●乳児のビタミンD欠乏について(2018.9.27)
●おたふくかぜによる難聴について(耳鼻咽喉科学会全国調査結果より)(2017.9.11)
●RSウイルス感染症が流行中です(2017.9.11)
●夏かぜ(ヘルパンギーナや手足口病)について(2017.7.13)
●小児科外来で行う感染症の迅速検査について(2017.1.17)
●マイコプラズマ感染症(2016.10.24)
●子どもさんの低身長が気にかかる親御さんへ(2015.5.26)
●各地で麻疹流行の兆し(2014.2.20)
●インフルエンザ流行状況について(2014.2.10)
●インフルエンザ Q&A 2014年度版
●風疹の大流行への備え(2013.4.11)
●インフルエンザ Q&A 2013年度版(2013.1.7)
●ノロウイルス感染症について(特に家庭でのケアと集団復帰の判断について)(2012.12.3)
●RSウイルス感染症について(2012.10.27)
●お薬について(2012.10.15)
●インフルエンザワクチンの有効性について(2012.10.15)
お父さん、お母さん、ご家族の方の公的補助が受けられる風疹抗体検査について(2019.7.23)
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現在以下に当てはまる方は無料で風疹の抗体検査が受けられます。(家族も可能です!!)
さらに抗体をもっていないと判明した場合は予防接種に対して補助がでます。
★妊娠を希望する女性
★妊娠を希望する女性の配偶者や同居者(男女問わず)
さらに以下に当てはまる場合
★県内に住所がある
★過去に風疹にかかったことがない(はっきりと医療機関で証明された場合以外)
★風疹の予防接種を受けた記録がない(覚えていない)
★過去に風疹の抗体検査を受けたことがない
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上記の検査で抗体を保有していないと判明した方は、麻疹風疹予防接種に対して敦賀市から5,000円の補助がでます。
★妊娠を希望する女性で以前の検査で抗体を保有していないことが既に判明している場合は、再度の検査なしで予防接種に際して補助を受けることが可能です。
★40歳から57歳の男性(S54.4.1生~S37.4.2生)は、今年度から始まった国の風疹対策の一環として、全員に抗体検査及び抗体未保有者の場合のワクチン接種用のクーポン券が送られてきます。2019年度はS47.4.2生~S54.4.1生の方が対象となり、それ以外の方は来年度にクーポン券が送られてきます。医療機関だけでなく健診の場を利用して行うことが可能です。
詳しくは当院までお問い合わせください。
2018年後半から全国で流行している風疹は、2019年になっても下図のように毎週50人前後の発生を認め流行の収束する見通しが立っていません。
今こそ成人の方は麻疹風疹ワクチンを!!(過去に1回しか受けていない方、何回接種したか分からない方は是非ワクチンを受けましょう!)(2018.9.27)
今年の春に沖縄から麻疹が流行して、全国に拡大したことは記憶に新しいことと思います。2015年に世界保健機構から日本古来の麻疹は排除されたことが確認されましたが、その後も毎年のように海外から麻疹が輸入され日本各地で局所的に流行することが繰り返されています。まだアジアの多くの国では麻疹多発地域であり、インドネシアバリ島やタイプーケットへの旅行者が帰国後麻疹を発症する例が絶えません。現在日本で麻疹に感染する可能性のある世代は30~40代の成人です。今年4月の時点で28歳以下の人は、麻疹風疹ワクチンを公的に2回接種する機会があったため9割以上の方が2回接種を済ませているのに反して、30~40代の成人の方はまったくしていないか、受けていていても1回接種の方が多いことが原因です。小さな時期に1回の接種では免疫作用が持続せず、大人になってからの麻疹や風疹感染を防ぐことができません。毎年感染が広がる対象の30~40代の成人の方がしっかり免疫をつけることが、今後の流行を防げるかどうかにかかっています。
今年の夏前ごろより関東を中心に風疹が急激に増加してきました。毎週100人前後の報告があがってきており、今後各地に流行が拡大するリスクがあります。風疹は妊娠初期の方が感染すると胎児に重大な障害をもたらす可能性があり(先天性風疹症候群)とても嫌な感染症で地域に流行することは避けたいところです。身近にこういった感染症が流行しないよう、また万が一流行してしまった場合に家族などの身近な人へ感染させないようにしっかり免疫をつけておくことが大変重要です。
麻疹も風疹も流行が本格的になってしまうとワクチン不足が毎回のように起こってしまいます。普段の内に「ワクチンを過去に受けていない」「1回しか受けていない方」「何回接種したか分からない方」は是非ワクチン接種をしてください。接種されるワクチンは、麻疹風疹混合(MR)ワクチンを接種してください。
小児では1歳になると麻疹風疹ワクチン接種が可能です。接種可能になったらできるだけ速やかに接種を済ませておきましょう。
風疹の流行に注意が必要です!(2018.9.27)
今年の夏前ごろより関東を中心に風疹が急激に増加してきました。8月頃から毎週100人前後の報告があがってきておりましたが、9月に入りさらに100人を超えて発生報告がでるようになりました。現在は東京、千葉、神奈川といった関東圏が中心ですが、その他の地域でも徐々に報告数が増加しており、福井県でも9月に入り報告例が出ています。今後各地で流行が拡大するリスクがあり十分な注意が必要です。
風疹は発熱とともに細かな発疹が顔や、首から出現し全身に拡大していきます。リンパ節が腫れたり、関節が痛くなったりすることもあります。発熱は3~4日続くこともあれば、微熱程度で済んでしまう場合もあります。何千人かに一人の程度で脳炎や血小板減少性紫斑病を合併することがあります。
風疹が流行してもっともいやなことは、妊娠初期の方が感染すると胎児に高い確率で重大な障害(先天性風疹症候群)をもたらす可能性があることです。そのためこの感染症が地域に流行することは避けたいところです。
現在この感染症にかかってしまう多くの方は30~50代の成人男性です。40代以上の男性の方は小児期に風疹ワクチンを受ける機会はまったくなく、30代の男性の方でも中学時代に1回の接種機会があったのみで、この時期接種しなかった方も多くいらっしゃるようです。身近に風疹が流行しないよう、また万が一流行してしまった場合に家族などの身近な人へ感染させないようにしっかり免疫をつけておくことが大変重要です。
お父さん、お母さん!!
過去に風疹ワクチンを受けた事がない方はもちろん、
受けた事が分からない
1回しか受けていない方は
是非風疹ワクチンを受けてください。
尚風疹ワクチンを希望される際は麻疹風疹混合ワクチンを接種しましょう。
風疹単独ワクチンもありますが、風疹と同時に麻疹の免疫を強化しておくことはとても意味のあることです。ご両親の接種も当院で可能です。詳しくは受付までお問い合わせください。
乳児のビタミンD欠乏について(2018.9.27)
ビタミンDは人間の体に必須の栄養素です。食べ物から摂取して取り入れる以外に、太陽の光を浴びて人間の体内で合成して作っています。日本人はすべての年代でビタミンDが不足している事が分かっており、しかも近年乳幼児での不足状態は深刻です。
その背景は不適切な食事制限や偏食、紫外線不足などの特別なケースだけではなく、通常の母乳栄養の赤ちゃんでもビタミンDが不足傾向にある事が分かってきました。東京や静岡での調査では母乳栄養児の約半数が、ビタミンD欠乏状態であったという結果が報告されていますし、北日本(八戸)の調査でも完全母乳栄養児の90%が欠乏状態であった調査結果が報告されています。
ビタミンDが不足すると小児ではくる病や低カルシウム血症という病気の発症に直接関連します。くる病は凹脚やX脚と言って足が変形する病気ですし、低カルシウム血症は痙攣を起こす病気です。それ以外にもビタミンDは体の免疫系や細胞の働きを調整する重要な働きを担っており、近年早産や糖尿病、成人のがんや死亡率と関連がある事が分かってきました。従って赤ちゃんの時からビタミンDを充足状態にしておくことはとても重要です。
妊娠中のお母さんもビタミンD欠乏に陥りやすいことは以前から指摘されていました。お母さんと赤ちゃんともに適度な日光浴はとても重要です。日焼け止めを使わない室内同様の服装で10~15分室外に出る程度でいい働きがあるといわれています。
また当院では乳児期よりビタミンDを充足するために、完全母乳栄養の子どもさんには赤ちゃん用ビタミンDのサプリメントでの補充をお勧めしています。現在日本製品で使用できる製品は以下の製品です。
babyD200 (森下仁丹)1日1滴
90回分で約1,300円です。
http://babyd.jintan.jp
薬局やネットでお求めいただけます。
おたふくかぜで難聴、2年間で314人(日本耳鼻咽喉科学会調査)(2017.9.11)
おたふくかぜにかかった後、回復不能の高度の難聴になることがあります。約1000人に1人程の頻度で起こるといわれていましたが、日本耳鼻咽喉科学会が全国調査を行ったところ、去年までの2年間に314にも上る人がおたふくかぜによって難聴になっていることがわかりました。年齢別でみると10歳未満が半数以上を占めていますが、30代の方も11%を占めていますので決して子どもだけではありません。この調査は全国8000の医療機関を対象にしたものなので、実際にはさらに多くの方が難聴になっている可能性があります。通常は片側の難聴をきたしますが、今回の調査では14人の方が両側の難聴であったという事実はかなり衝撃的でした。
おたふくかぜは予防接種でほぼ予防できる病気です。残念ながら定期予防接種ではないので、通常自治体からお知らせはきませんし、全額自己負担ですが、是非小児の間に接種を済ませて起きましょう。おたふくかぜの予防接種は2回接種が必要で、1歳になったら早めに1回目の接種を、就学の前年に2回目を接種します。尚敦賀市ではH22年1月より、1~3歳未満の子どもさんへの1回目の接種を全額補助していますが、2回目の通知はきません。
RSウイルス感染症が流行中です(2017.9.11)
毎年11月頃から流行するRSウイルス感染症が今年は8月末より当地でも流行してきました。現在は市内ほとんどの保育園を中心に流行している模様です。現在風邪をひいて咳のひどい子どもさんの多くはRSウイルス感染症による症状と思われます。
このウイルス感染症は生まれて初めてこのウイルスに感染した際にとても症状が重くなる傾向にあります。特に6ヶ月未満の赤ちゃんや心臓に持病があったり、未熟児でお生まれになった赤ちゃんが感染すると細気管支炎といって、息が荒くなったり、ぜーぜーしたりするなど呼吸を乱すことがあります。ひどい場合は眠れない、母乳が飲めなくなり入院を要する場合もあるため十分な注意が必要です。
一方2~3歳以上になるとほとんどの場合は過去にすでに感染したことがあるため、咳がひどくなったりはするものの、それ以上にこじらすことは少なくなりますので、通常過度な心配は不要ですし、特別な治療もありません。
RSウイルス感染症かを確認する抗原検査(鼻水を吸って調べます)は、保険診療上1歳未満に認められる検査です。特別な場合以外は1歳以上の子どもさんには検査を行いません。保育園、幼稚園への登園の目安も通常のかぜの場合と特に変わりはありません。
夏かぜ(ヘルパンギーナや手足口病)について(2017.7.13)
毎年夏場に流行する夏かぜの主なものに、ヘルパンギーナと手足口病があります。
ヘルパンギーナは急な熱で発症し、のどに小さな口内炎(アフタといいます)をつくります。熱は39度以上の高熱になることも多いですが、1~2日ですぐに解熱します。アフタが小さければのどの痛みもなく終わってしまいますが、時には数日しみる痛みを訴えることもあります。
手足口病は、のど、手、足、ひざ、おしりに小さな水泡を伴う発疹が出現する病気で、発症時に熱を伴うことがあります。ヘルパンギーナと同様、のどのアフタがひどいと、しみるのどの痛みが強く、食べたり飲んだりすることがとてもしにくくなります。のどの痛みが強いときは、熱いものや冷たいものよりぬるいもの、すっぱいもの(特にフルーツやトマトなどの野菜)より酸味のない牛乳など、汁物よりパンなどの乾き物の方が摂取しやすいようです。高熱時にぐったりしていれば解熱剤を使用することはありますが、それ以外の内服薬は通常必要ありません。
ヘルパンギーナや手足口病をおこすウイルスは何種類もあるので何度もかかることがあります。園や学校の集団生活は、熱が下がり、通常通り食べられるようになれば、たとえ手足の発疹が残っていても戻って構いません。もちろん出席許可証も不要です。
通常は数日で自然治癒する感染症ですから心配ありませんが、高熱が数日続いたり、吐いたり頭痛がひどくてぐったりしている場合は、医療機関を受診しましょう。
小児科外来で行う感染症の迅速検査について(2017.1.17)
私が開業した2000年当時、インフルエンザの診断はまだ症状と流行状況から行ういわゆる臨床診断というものでした。ところが、1~2年のうちに迅速抗原検査と言って、鼻をぬぐった綿棒を使用してインフルエンザのウイルスがいるかどうか15分ほどで調べることができる画期的な検査が登場しました。その後、いままでカゼと言っていた病気をさらに細かくウイルスの特定ができる検査が次々と登場しました。具体的にはアデノウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどです。それ以外にも溶連菌感染症、マイコプラズマ、また感染性腸炎をおこすロタウイルスやノロウイルスなどいろいろな感染症の病原体がいるかどうかを即座に調べる抗原検査が登場し、現在の小児科外来診療にはなくてはならないツールとなりました。
一方でこれらの検査は、気を付けなければ間違った診断に至ってしまったり、過剰診断につながってしまうリスクもあり、十分検査の特性を理解したうえで使用する必要があります。例えばインフルエンザで発熱間もない時間での検査で陽性に出ないことは一般の方でもすでによく知られていることですし、また溶連菌感染症の検査では、まったく症状のない人にも陽性に出ることがあります。(この場合治療の必要ありません。)ロタウイルスやノロウイルス感染症では嘔吐しだしてすぐの便の検査ではまだウイルスは検出されないことが多いでしょう。時々親御さんの仕事の関係上、ノロウイルス感染症かどうか調べてほしいといわれることがありますが、ノロウイルスでないという保証をすることは難しく、通常お受けすることはできません。
検査を行うかどうか決めるに際しては、検査を行うことで患者さんに十分メリットがあるかどうかも重要なポイントです。たとえば発熱初日にアデノウイルス感染症の検査をすることは通常必要ないでしょう。この感染症は多くの場合自然治癒しますし、わからないうちに終わってしまっている場合も多い感染症です。熱が4~5日続いた際に、治療せず見ていてもいい感染症か確認するために検査する場合がほとんどです。2,3歳の子どもさんがたとえ RSウイルスにかかっても、通常のかぜとしての対応で十分であり、RSかどうか調べる検査は必要ありません。一方RSウイルス感染症が流行している時期に、2~3カ月の赤ちゃんが咳をしだした場合、たとえ軽い程度の咳でもRSウイルスをもらっているかどうかの検査をすることが多いです。この感染症は6月未満の赤ちゃんがかかるととても強い呼吸障害が出ることがあるのです。
また、これらの迅速検査は、検査によって保険診療上の決まりがあり、誰にでも検査ができるわけではありません。たとえばRSウイルスの検査は、2歳未満の子供にのみ認められている検査であり、ノロウイルス検査は3歳未満の小児のみ行うことが認められています。
こういった理由により、検査するかしないか、した方がいいか意味がないかの判断は、ぜひ医師にお任せしていただきたいものです。保育園などでの感染症の流行状況を教えていただくことは診断の大きな参考になり大変有り難いのですが、保育園や学校側から、この検査を受けてきてくださいというご要望にはお答えできません。
子どもさんの感染症の診断を極力丁寧に、無駄な治療のないように、上手に診断のための検査を行いたいと思いますし、そのために極力感度のいいキットや機器を揃え、検査について深く理解して診療に臨みたいと思います。
マイコプラズマ感染症(2016.10.24)
全国的にマイコプラズマ感染症が流行しているようですが、当地でも最近マイコプラズマ感染症が目立ってきました。
肺炎マイコプラズマという通常の細菌やウイルスと異なる独特の病原体で、気管支炎や肺炎を起こしやすい感染症です。乳児より幼児期以上学童期、青年期(もちろん成人も)で目立つ症状になりやすいといわれています。初発症状は発熱、頭痛、倦怠感などで数日後に乾いた咳が出てきます。咳が徐々にひどくなり数週間持続するのが特徴ですが、中には発熱を認めることなくひどい咳だけ続いているケースも珍しくありません。短時間一緒にいただけでうつるリスクは低く、家族や友人で長時間一緒にいて、咳の飛沫をあびた場合に感染していきます。またインフルエンザのように接触から数日で発症するのではなく、通常接触してから発症まで2~3週間要するため、家族で一人が治った頃に他のメンバーが発症するという具合にうつっていきます。
診断はのどを拭った綿棒を使用して行う迅速抗原検査(15分ほどで結果が出ますが感度や精度の点でLAMP法に劣ります)や精度のよいLAMP法(マイコプラズマの遺伝子を検出する方法で感度が高いのですが、結果が数日後になります)、または血液を採取して行う抗体検査などを用いて行います。いずれも発症すぐには診断することは困難です。マイコプラズマ感染症は感染した人すべてが重症になるわけではなく、軽い症状のまま終わってしまう人も大勢いるといわれており、慌てて検査をする必要はありません。
治療は一般的にはマクロライド系という抗生物質を内服することにより多くは治癒します。但しこの系統のお薬は、内服後の苦味が強いため、お薬の苦手な子どもさんは苦労します。内服にコツがありますので、薬剤師さんや看護師さんに十分な説明を聞いておくといいでしょう。
まれにマクロライド系のお薬に効かないマイコプラズマがあります。治療開始後2日程みて解熱しない場合には内服薬の変更が必要になりますが、やはり他の内服薬で対応可能でありたとえ肺炎を起こしても入院を要することは通常まれです。マイコプラズマの治療薬にミノマイシンというお薬がありとてもよく効きます。しかしこのお薬は歯が黄色くなってしまう副作用があるため8歳未満の子どもさんには使用できません。もちろん日本小児科学会認定小児科専門医であれば誰でも知っているはずです。
登園登校はいつまで禁止という基準はありませんが、通常熱がなく頑固な咳がなくなるまで自宅安静となります。軽い咳程度ならマスクをして登園登校可となります。
過度に心配する必要はないものの、通常のかぜにしては頑固な咳になってきたかなと思う場合には早めの受診がいいでしょう。
子どもさんの低身長が気にかかる親御さんへ(2015.5.26)
最近身長の伸びが悪い、以前から極端に背が低い等身長のことでご心配されておられる方がいらっしゃれば、是非ご相談ください。子どもの成長は個人個人でさまざまです。背が低い方でも、多くの場合は特に病的な問題のない体質的なものがほとんどですが、なかには、治療により身長の伸びを改善することができる方もおられ、その区別は外見では判断できません。当院では以下のような手順で、病的な問題がないか検査しています。
★低身長の方の検査のすすめ方★
身長が低くてお悩みになっている場合、まず子どもさんの成長の記録(成長歴)をしっかり確認することから始めます。小さい時からずっと小さいのか、最近急に身長の伸びが悪くなったのか等、今までの成長の仕方を知ることがとても重要です。そのため、受診される際は、是非母子手帳、保育園や幼稚園の身体計測の記録、小学校の毎学年の身体計測の記録を持参ください。(敦賀市ではお一人ずつの成長をグラフに記録していく成長曲線というものが使われていますので学校に依頼して貸し出してもらうといいでしょう。)
このチェックで、特に病的な原因のない体質性の低身長の可能性が高いと判断されれば、今後の成長を確認していくことで問題ありません。一方成長の記録を確認後、病的な原因が否定できない場合には、レントゲン検査、血液検査をおこないます。レントゲン検査では、左手のレントゲン写真を撮り、骨が年齢相応の発育をしているかの評価をします。骨の発育が遅れている場合、成長ホルモンを始め低身長の原因に、病的な原因が存在している可能性があります。また血液検査では体の代謝をつかさどっている肝臓、腎臓の機能に異常がないか、貧血がないかなどの一般的なスクリーニング検査とともに、成長に影響する各種ホルモン(甲状腺や性腺ホルモン等)のチェックを行います。残念ながら成長ホルモンが正常に分泌されているかを、1回の血液検査で測定することは困難です。そのために、ソマトメジンCという成長ホルモンの分泌刺激によって肝臓で作られる物質を測定することで、間接的に成長ホルモンの分泌の評価を行います。女児の場合、ターナー女性と言って、遺伝的体質により低身長を認める場合がありますので、必要な場合は染色体検査を行います。以上の検査で何か異常を認めた場合には、さらに検査を進めていくことになります。
もし、骨の検査やソマトメジンCの検査で異常を認めた場合には、成長ホルモンの分泌が正常かどうかを確認するホルモン分泌負荷試験を行います。体に投与されると一時的刺激で成長ホルモンが分泌されることが分かっている物質があります。アミノ酸の一種であるアルギニン、血糖を上昇させるグルカゴンというホルモン、血圧を下げるクロニジンという薬剤などがこれに相当します。試験はこれらの薬剤を、注射や内服で投与し、2時間から3時間30分ごとに採血し成長ホルモンを測定します。検査は外来で可能ですが、朝食を取らずに受診していただき、午前中3時間前後要します。また、2~3種類の刺激試験にて分泌が正常か異常かを判断しますので、2~3日通院していただく必要があります。検査結果が出るまでに1週間ほど要します。この検査で異常が確認された場合には、MRIという画像検査で脳のホルモンを分泌する場所に腫瘍や形態的な異常がないかを確認する検査を連携病院にて受けていただきます。これで一連の検査は終了で、必要な場合は、成長ホルモンを補充する治療を開始することで、身長を今までより大きく伸ばすことが可能です。
現在の子どもさんの身長の低さの程度が、相談した方がいいかどうか迷われる場合は、以下のような低身長についてのサイトを参考にされるといいでしょう。現在の身長や体重の数値を入力することで、具体的な評価を行ってくれます。
子どもの低身長を考える 成長相談室
http://ghw.pfizer.co.jp/index.html
成長障害 低身長の子どもさんのための相談室
http://www.nordicare.jp/
各地で麻疹流行の兆し(2014.2.20)
子どもさんに麻疹ワクチンの通知が来たら速やかに接種を済ませてください。
大人の方でワクチンをしているかどうか不明な方、是非ワクチン接種してください。
今年に入り麻疹の発生が目立ってきています。国立感染症研究所の報告によりますと、昨年度は全国で毎月数例程度の報告でしたが、今年に入りすでに46名もの報告があります。都道府県では京都府での発生が多く、お隣の滋賀県からも報告されており、比較的敦賀市からの近くで発生していることがわかります。麻疹は2007~2008年頃10代を中心に全国的に大流行しました。それを教訓に国は中学生や高校生にも麻疹風疹ワクチンの2回目の接種を数年かけて行い、その後麻疹の発生は激減しました。最近の発生例を見てみると、土着のウイルスが流行してくるという以前のパターンと異なり、海外(フィリピン、インドネシア、グアム等)で感染した人が国内に持ち帰り、周囲に感染が拡大するケースが目立っているようです。発症者の年齢は、乳児から成人まで幅広く、発症者の85%が予防接種をしていないか、したかどうか不明の方です。
麻疹は命にかかわる重篤な感染症で治療法もありません。また感染性が強いため、電車の中や飛行機の中、集会などの集まりで知らないうちにうつされていることがありうる感染症です。今後流行が拡大してきた際に身を守るためには、予防接種を2回受けておくことが重要です。1歳のとき及び小学校就学前の年に定期接種の通知が来ますので、通知が来たらなるべく早めに接種を済ませてください。成人の方で1回も接種を受けていない人はもちろんですが、2回接種がはっきりしていない方も、もし流行が拡大してきたときの予防のために2回目の接種をされるといいでしょう。現在麻疹ワクチンは麻疹風疹混合ワクチンとして接種可能です。従って麻疹風疹混合ワクチンを1回接種しておくことで、昨年度流行した風疹対策にもなりかつ麻疹予防に役立つのです。昨年大流行した風疹に対する措置として、敦賀市では妊娠を希望される女性の方、妊婦の御主人に対する風疹ワクチン接種に対する費用補助をこの3月まで行っています。このワクチンも麻疹風疹混合ワクチンを使用しますので、上記対象者はぜひ3月中に接種しておかれることをお勧めします。
続報:2月25日国立感染症研究所報告によりますと、今年の患者発生数は103人となり、既に昨年の半数に迫る勢いとのことです。(2014.2.26)
インフルエンザ流行状況について(2014.2.10)
昨年末より徐々に増加していたインフルエンザの県内発生がいよいよ警報レベルとなり、先週県内インフルエンザ警報が発令されました。敦賀市でも成人から小児まで全年齢層で流行を認めています。今年のインフルエンザの流行の現在までの特徴を簡単に述べてみます。
例年流行するインフルエンザウイルスにはA型、B型ウイルスがありますが、A型の中には従来存在した香港型といわれるタイプのものと、5年前に新型インフルエンザとして出現したH1N1型があります。今シーズンはこのH1N1タイプのインフルエンザが全国的に流行しているようです。私たちのクリニックでもH1N1タイプかどうかを調べることができるのですが、今年に入ってからの流行はH1N1タイプのA型インフルエンザが主を占めています。またB型も一定の発生があり、いろんなタイプのインフルエンザが混在している状態といえます。
2009年新型インフルエンザの流行の主な年齢層は比較的高い年齢層(学童期)であったため、現在10歳未満の低年齢の子どもさんはこのウイルスに対する免疫を保持していない可能性が高く、今後の流行の主体となってくる可能性があります。H1N1タイプが他のタイプのものと比較して特に重症となるわけではありませんが、一つ注意しておかなければならないことがあります。2009年の新型の流行時には、重症のインフルエンザ肺炎の発生が多くみられ、特に喘息などアレルギーの基礎疾患を持っている子どもさんに多かったことが報告されています。従って喘息などがある場合で、インフルエンザを発症した場合には、ぜーぜーしたり、呼吸が苦しくなったりするなど呼吸状態に変化がないか注意しておく必要があるでしょう。一部の地域で、タミフル等の抗ウイルス剤に効かない耐性ウイルスの報告があり気になるところですが、インフルエンザの治療に対する治療方針は従来通りとするという日本小児科学会からの指針も先ごろ発表されました。幸い県内でタミフル等に作用のない耐性ウイルスの報告は現在のところなく、日常診療でも治療に反応しないようなケースには現在のところ遭遇していません。
今後まだしばらくインフルエンザの流行が続くものと思われますが、急な発熱時に慌てることなく対処できるように予め知識を身につけておくことはとても大切だと思います。インフルエンザQ&A2014年版を掲載しましたので参考にしてください。
インフルエンザ Q&A 2014年度版
Q:どんな症状に気をつければいいのでしょうか?
●A●インフルエンザは急な発熱や寒気、筋肉痛や関節痛などで発症することが多く、徐々に咳や鼻水といったかぜ症状を伴ってきます。通常の感冒よりはつらいものの、意識がしっかりし、水分などが十分とれていれば慌てることはありません。このような症状以外に、意識がはっきりしない、けいれんを起こしたなどの症状があるときは脳症の可能性もあり、なるべく早めに医療機関を受診してください。5年前新型インフルエンザが流行した際に、喘息など呼吸器に持病のある方が罹患すると、まれに急激に呼吸状態を悪くするという報告がありました。もし、息が荒い、又はぜーぜーしている等の呼吸器症状がある場合も早めの受診を心がけましょう。
Q:発熱した際に、変なことを言い出したり、わけのわからないことをしだした場合、どうすればいいでしょうか?
●A●インフルエンザの発熱は一般的には急激で、また他の感冒よりは高熱になります。子供は高熱を出した際に、熱せん妄といって、変なものが見えるといったり、怯えたり、急に外に飛び出すなどの変な行動を起こすことがあります。熱せん妄であれば通常はしばらくするとまた眠りにつき、再び目が覚めたときには元通りとなり、意識もしっかりしているはずです。短時間で再び入眠するようならばしばらく様子観察してみましょう。しかし、しばらくこのような症状が続く場合は脳症との区別は難しく、医療機関を受診しておいたほうが無難でしょう。
インフルエンザの症状の一つとして、異常行動はどなたでもでる可能性があります。異常行動は、階段から転落したり、窓から飛び出しけがをしたりなど不意な事故につながる可能性があります。インフルエンザと診断を受けた際には、特に発症後2~3日は治療の内容にかかわらず、子どもさんを一人にしないよう心がけましょう。
Q:もしインフルエンザであればなるべく発熱後早めの医療機関受診がいいのでしょうか?
●A●いいえ、そうではありません。インフルエンザの診断には通常鼻の吸引液や粘膜ぬぐい液を用いた抗原検査を行いますが、発熱後5~6時間ではウイルス量が少なく陽性にはならない可能性があります。従って本人に比較的余裕があれば、夜間なら翌日まで待って、日中なら少し時間を置いての受診のほうがよりはっきりと診断がつけやすいでしょう。
Q:インフルエンザの診断には必ず検査が必要ですか?
●A●必ずしも全員に検査が必要ではありません。例えばご家族の方に既にインフルエンザに罹患されている人がいたり、クラスで席が隣の子がインフルエンザになっていたなどの状況があり、症状が典型的な場合は抗原検査をする必要はないでしょう。ケースバイケースで医師が判断することだと思います。また症状が全くないにもかかわらず、うつっていないかどうか検査を希望される場合があります。症状がない状態での検査には意味がありませんし、また保険診療上も行うことはできません。
Q:インフルエンザの治療薬にはどんなものがありますか?
●A●抗インフルエンザ薬にはタミフル(内服薬)、リレンザ(吸入薬)、イナビル(吸入薬)、ラピアクタ(注射薬)の4種類がインフルエンザに使用できます。発熱期間を1~2日早めることができ、4種の作用はいずれも同等と思われます。(但しB型インフルエンザに対するタミフルの作用はあまり期待できません。)注射薬は重症者が対象になるでしょう。吸入薬のできない乳幼児はタミフル5日間の内服治療となります。リレンザとイナビルは専用の吸入器具を用い、自ら大きな息をして吸う吸入薬です。イナビルは従来のリレンザと異なり、わずか1日の吸入で済むとても簡便なお薬です。十分上手に吸入ができる年齢(小学校高学年以上)であればとても有益です。しかし十分にうまく吸入できなかった場合は追加の処方もできないため、作用が不十分となってしまう可能性がありますので、吸入が不安定な可能性がある場合は5日間のリレンザ吸入を使用するか、タミフルの内服をするほうが適している思います。但しタミフルの内服は10代の患者さんには、異常行動との関連性(因果関係は不明)が報告されており原則として使用を控えています。またお薬の説明書きには、タミフルは1歳以上の子どもさんに使用することと書かれています。しかし今年1月に小児科学会から出されたインフルエンザの治療に対する指針では、1歳未満でも、患者さんと十分話し合って使用することは差し支えない旨記載されていますので、ケースバイケースで患者さんとよく相談した上で処方するか判断したいと思います。
インフルエンザは、通常は自然治癒する感染症です。また罹患しても軽症で経過する方もおられ、必ずしも全員に抗インフルエンザ薬が必要なわけではありません。状況によってはお薬なしで、または漢方薬などを使用して経過観察ということもあるでしょう。
Q:家族がインフルエンザにかかった場合、まだ発症する前に予防的に抗ウイルス剤を使用することが可能でしょうか?
●A●タミフル、リレンザ、イナビル等のお薬はインフルエンザの人と接触後、発症を予防するための予防投与が認められています。但し保険診療は不可能で、すべて私費となります。これらの薬剤が一般の人の予防に広く使われだすと、これら薬剤が効かないインフルエンザウイルスの出現が早まると思われ、これらの薬剤を今後のインフルエンザの治療に大事に使用するためにも、健康な人への予防投与は一般的には行われていません。当院では御家族の中にインフルエンザにかかると命にかかわるような方(がんの治療中や御高齢で病気治療中等)がいらっしゃる場合や受験と重なりそうな特殊な場合のみ予防投与のための処方を行っています。
Q:インフルエンザの発熱の際に解熱剤は使用していいのでしょうか?
●A●インフルエンザの発熱は一般的には高熱で解熱剤に反応しにくいことが多いです。発熱直後の解熱剤使用は、ほとんど作用はでないと思われますので、しばらく数時間様子を見て高熱が続く、頭痛や関節痛が強い場合に使用するのがいいでしょう。また、インフルエンザには相性の悪い解熱剤があることがわかっています。子どもさんに使用する場合は、アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ、アルピニー等)という成分の解熱剤を使用するよう心がけましょう。また総合感冒薬として処方されることのある(日本小児科学会認定小児科専門医が処方することはまずありませんが。)小児用PL顆粒、ペレックスといった内服薬もインフルエンザとは相性が悪く、服用は避けましょう。
Q:インフルエンザに罹患した際に、幼稚園や学校に戻れる目安はどのようになっているのでしょうか?
●A●学校保健法ではインフルエンザにかかった場合、以前は解熱後2日間を経過して登校可能と決められていました。しかし最近は抗インフルエンザ薬の使用で、早期に解熱する場合が多く、従来の基準では、まだ感染性があるにもかかわらず登校可能になるケースが多く出てくるようになりました。発熱初日に抗インフルエンザ薬で治療開始し、翌日より解熱した方でも、発症4~5日目頃まではウイルスをまだ排泄していることがよくわかっています。このことを踏まえて登校基準が改正され、現在ではインフルエンザ罹患後の登校の目安は、発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼稚園や保育園の場合は解熱後3日)を経過して登校可能となりました。尚発症5日目というのは、発熱した日を0日とし、その翌日から1日目とするという基準も示されています。登校に際して、出席許可証は敦賀市では必要ありません。親御さん自らが上記の基準で判断していただければ結構です。但し急いでの登校はクラスでの集団発生につながりますので十分注意してください。
風疹の大流行に備えましょう
昨年より各地で風疹が流行していることは、皆さんテレビの報道などで御存知のことと思います。幸い福井県ではまだ流行は認めていないものの、全国的にみますと関東、関西を中心にして大流行状態です。厚労省の報告によりますと、昨年から流行状態にあり、年間2300人程の発生報告数がありましたが、今年は1月からの3ヶ月間で昨年の発生数をすでに超えており、異常な大流行状態と言えます。春休みからゴールデンウィークにかけて、転勤や旅行など、県外との人の交流が盛んになることで、いつ福井県が流行状態になってもおかしくないでしょう。
風疹が流行して困る問題は、妊婦さん(特に妊娠初期)が感染すると、おなかの赤ちゃんにも感染し、耳が聞こえない、目が見えない、心臓に異常が出る、発達に問題がでる等「先天性風疹症候群」という病気にかかることがあることです。妊娠してからでは予防接種もできず、免疫のない方は防ぎようがありません。
風疹という病気はわからずに済んでしまう場合もあれば(この場合も人への感染力は当然あります)、発熱が長引き、関節がはれたり痛んだりして、学校や会社を1~2週間休まざるをえなくなることもあります。稀には血小板が減少する病気を合併したり、脳炎を起こしたりすることがある等決してあなどれない病気です。
今年度23歳になる世代までは、麻疹、風疹混合ワクチンを公費で2回受ける機会があり、2回きっちり接種を済ませている方は、感染の可能性は低いです。それ以上の年齢の女性は、風疹ワクチンを接種する機会はあったものの、1回だけであり、接種を受けていたとしても免疫が十分ついていない可能性があり、ぜひ2回目の接種を受けてください。但し過去に妊娠の既往のある方は、産婦人科で抗体検査をお受けになっているはずです。母子手帳を確認し、抗体価(通常HIと表示されているはずです。)が32という数字以上なら免疫ありと判断します。それ以下の数字では免疫なしと判断されますのでワクチンが必要です。女性の場合、ワクチン後2ヶ月間は避妊が必要です。
男性については、やはり今年度23歳になる方まではワクチン2回接種の機会がありましたが、それ以上の世代では受けていても1回、さらに今年度35歳になる方以上の世代では、まったくワクチン接種の機会はありませんでしたので、多くの方が免疫を持っていない状態です。 現在の流行の中心も20~50代前半の男性と言われており、ぜひワクチン接種をお勧めします。風疹(三日ばしか)にはかかったことがあると言われている方も、注意が必要です。風疹の診断はとても難しく見誤ることが往々にしてあるため、抗体検査で確認済みのケース以外は未罹患と考えた方がいいでしょう。(たとえ罹患していてワクチンを受けたとしても健康上何の問題もありません。)
小児については、1歳のお誕生日、6歳になる年度の4月に麻疹風疹混合ワクチンの通知が来ます。通知が来たならば極力早めの接種を心がけましょう。妊娠を希望する女性とその家族だけではなく、この地域に風疹を流行させないために、また個人予防の観点からもぜひ今予防接種をお受けください。
尚、現在風疹単独ワクチンが不足気味ですが、成人の方の多くは、麻疹ワクチンを受けていないかもしくは1回接種の方がほとんどであり、是非麻疹風疹混合ワクチンで接種されることをお勧めします。
インフルエンザ Q&A 2013年度版
今シーズンもいよいよインフルエンザの季節が到来しました。インフルエンザについて、あらかじめ知識を身につけておくことは、急な発熱の際に落ち着いて対応できる助けになります。以下にインフルエンザQ&Aを作成しましたので参考にしてください。
Q:どんな症状に気をつければいいのでしょうか?
●A●インフルエンザは急な発熱や寒気、筋肉痛や関節痛などで発症することが多く、徐々に咳や鼻水といったかぜ症状を伴ってきます。通常の感冒よりはつらいものの、意識がしっかりし、水分などが十分とれていれば慌てることはありません。このような症状以外に、意識がはっきりしない、けいれんを起こしたなどの症状があるときは脳症の可能性もあり、なるべく早めに医療機関を受診してください。2年前新型インフルエンザが流行した際に、喘息など呼吸器に持病のある方が罹患すると、まれに急激に呼吸状態を悪くするという報告がありました。もし、息が荒い、又はぜーぜーしている等の呼吸器症状がある場合も早めの受診を心がけましょう。
Q:発熱した際に、変なことを言い出したり、わけのわからないことをしだした場合、どうすればいいでしょうか?
●A●インフルエンザの発熱は一般的には急激で、また他の感冒よりは高熱になります。子供は高熱を出した際に熱せん妄といって、変なものが見えるといったり、怯えたり、急に外に飛び出すなどの変な行動を起こすことがあります。熱せん妄であれば通常はしばらくするとまた眠りにつき、再び目が覚めたときには元通りとなり、意識もしっかりしているはずです。短時間で再び入眠するようならばしばらく様子観察してみましょう。しかし、しばらくこのような症状が続く場合は脳症との区別は難しく、医療機関を受診しておいたほうが無難でしょう。
インフルエンザの症状の一つとして、異常行動はどなたでもでる可能性があります。異常行動は、階段から転落したり、窓から飛び出しけがをしたりなど不意な事故につながる可能性があります。インフルエンザと診断を受けた際には、特に発症後2~3日は治療の内容にかかわらず、子どもさんを一人にしないよう心がけましょう。
Q:もしインフルエンザであればなるべく発熱後早めの医療機関受診がいいのでしょうか?
●A●いいえ、そうではありません。インフルエンザの診断には通常鼻の吸引液や粘膜ぬぐい液を用いた抗原検査を行いますが、発熱後5~6時間ではウイルス量が少なく陽性にはならない可能性があります。従って本人に比較的余裕があれば、夜間なら翌日まで待って、日中なら少し時間を置いての受診のほうがよりはっきりと診断がつけやすいでしょう。
Q:インフルエンザの診断には必ず検査が必要ですか?
●A●必ずしも全員に検査が必要ではありません。例えばご家族の方に既にインフルエンザに罹患されている人がいたり、クラスで席が隣の子がインフルエンザになっていたなどの状況があり、症状が典型的な場合は抗原検査をする必要はないでしょう。ケースバイケースで医師が判断することだと思います。
Q:インフルエンザの治療薬にはどんなものがありますか?
●A●抗インフルエンザ薬にはタミフル(内服薬)、リレンザ(吸入薬)、ナミビル(吸入薬)、ラピアクタ(注射薬)の4種類がインフルエンザに使用できます。発熱期間を1~2日早めることができ、4種の作用はいずれも同等と思われます。(但しB型インフルエンザに対するタミフルの作用はあまり期待できません。)注射薬は重症者が対象になるでしょう。吸入薬のできない乳幼児はタミフル5日間の内服治療となります。リレンザとナミビルは専用の吸入器具を用い、自ら大きな息をして吸う吸入薬です。ナミビルは従来のリレンザと異なり、わずか1日の吸入で済むとても簡便なお薬です。十分上手に吸入ができる年齢(小学校高学年以上)であればとても有益です。しかし十分にうまく吸入できなかった場合は追加の処方もできないため、作用が不十分となってしまう可能性がありますので、吸入が不安定な可能性がある場合は5日間のリレンザ吸入を使用するか、タミフルの内服をするほうが適していると思います。但しタミフルの内服は10歳未満の子どもさん、20歳以上の成人の方に使用可能です。
インフルエンザは、通常は自然治癒する感染症です。また罹患しても軽症で経過する方もおられ、必ずしも全員に抗インフルエンザ薬が必要なわけではありません。状況によってはお薬なしで、または漢方薬などを使用して経過観察ということもあるでしょう。
Q:インフルエンザの発熱の際に解熱剤は使用していいのでしょうか?
●A●インフルエンザの発熱は一般的には高熱で解熱剤に反応しにくいことが多いです。発熱直後の解熱剤使用は、ほとんど作用はでないと思われますので、しばらく数時間様子を見て高熱が続く、頭痛や関節痛が強い場合に使用するのがいいでしょう。また、インフルエンザには相性の悪い解熱剤があることがわかっています。子どもさんに使用する場合は、アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ、アルピニー等)という成分の解熱剤を使用するよう心がけましょう。また総合感冒薬として処方されることのある(日本小児科学会認定小児科専門医が処方することはまずありませんが。)小児用PL顆粒、ペレックスといった内服薬もインフルエンザとは相性が悪く、服用は避けましょう。
Q:インフルエンザに罹患した際に、幼稚園や学校に戻れる目安はどのようになっているのでしょうか?
●A●学校保健法ではインフルエンザにかかった場合、以前は解熱後2日間を経過して登校可能と決められていました。しかし最近は抗インフルエンザ薬の使用で、早期に解熱する場合が多く、従来の基準では、まだ感染性があるにもかかわらず登校可能になるケースが多く出てくるようになりました。発熱初日に抗インフルエンザ薬で治療開始し、翌日より解熱した方でも、発症4~5日目頃まではウイルスをまだ排泄していることがよくわかっています。このことを踏まえて昨年度に登校基準が改正され、インフルエンザ罹患後の登校の目安は、発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼稚園や保育園の場合は解熱後3日)を経過して登校可能となりました。尚発症5日目というのは、発熱した日を0日とし、その翌日から1日目とするという基準も示されています。登校に際して、出席許可証は敦賀市では必要はありません。親御さん自らが上記の基準で判断していただければ結構です。但し急いでの登校はクラスでの集団発生につながりますので十分注意してください。
ノロウイルス感染症について(特に家庭でのケアと集団復帰の判断について)
ノロウイルス感染症が市内全域で流行中です。ノロウイルス感染症は1年中見られる感染症で、毎年冬に流行する傾向がありますが、今年はここ10年間で特に流行しているようです。
ノロウイルス感染症についての感染の仕方、予防対策等は、厚生労働省ホームページのQ&Aに詳しく書かれていますので参考にしてください。また具体的な消毒薬の作成の仕方や予防対策のリーフレットも大変参考になると思います。
◆ノロウイルス感染症Q&A◆
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
◆予防対策リーフレット◆
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/link01-01_leaf01.pdf
※PDF形式の文書をご覧いただくには、Adobe® Acrobat Reader(無料)が必要です。
お持ちでない方はこちらから入手できます。
さて病気のケアの仕方について少しお話ししたいと思います。ノロウイルスの発症は急激で、ほとんど突然の嘔吐で発症します子どもさんがもし夜中に急に吐き出したらどうすればよいでしょう。ノロウイルス感染症には特効薬はありません。また多くの場合自然に治癒していきます。従って発症すぐに医療機関を受診すれば早く治るということはありません。もちろん発症してしばらくは何度か嘔吐することでしょう。しかしすぐに脱水状態になることはありません。翌日になるのを待ってかかりつけ医を受診してください。
体が消耗しないようにするには、ご家庭での最初のケアがとても重要です。まずはお腹を休める意味でしばらくは水分も含めて口にするのをお休みしてみましょう。嘔吐の後は口をすすぐか、うがいができない場合は1~2口だけ口にする程度にとどめてみましょう。よく脱水を心配して、発症後すぐに水分をしっかりとらせようとされているケースを見かけます。大抵の場合ごくごく飲んだ後反射的に大量おう吐してしまい逆効果になってしまいます。2~3時間嘔吐のない状態が続いたら、2~3口ずつ水分をとらせてみましょう。1回は少量にし、5~10分しても嘔吐がなければ再び2~3口飲んでみるというように、少量頻回投与を心がけましょう。与える水分はOS-1(大塚製薬)等の経口補水液(その他市販の乳児用イオン飲料)を用いると、食べられない時間が長引いても適度な糖分や電解質液が補給され体の消耗を防ぐことができます。最近はこのような経口補水液の登場のおかげで点滴を要する頻度がめっきり減りました。水分を取っても嘔吐することがなくなり、本人がおなかがすいたと訴えるようになれば、お粥やうどんなど炭水化物を少し食べさせてみましょう。ゼリーなどから始めるのもいいでしょう。1回の食事で嘔吐したり、気分が悪くなったりしなければ、次回の食事からは脂っこくないものであればおかずも与えてみてください。しっかりと食事がとれるようになれば、下痢をしていても長々とお粥にしている必要はありません。お米はとても消化がいいので通常のご飯で十分です。
さてノロウイルス感染症の場合いつから集団生活に戻っていいかはとても難しい問題です。便には数週間ウイルスが排泄されていると言われます。従って、体からウイルスがいなくなるのを待ってからの集団復帰というのは親御さんが働いている場合、現実問題として無理があります。一方感染性の高いことも事実で、発症間もなくすぐに登園や登校をさせてしまうと、集団発生させてしまうことにもなりかねず慎まねばなりません。少なくとも嘔吐がなくなり通常通り食事がとれ、なおかつおむつから漏れ出てしまうような下痢(年長児であれば急に便意を催してトイレへ駆け込まないといけないような下痢)がある間は、休ませておくことが必要と思われます。
自分の保育園や幼稚園で流行しだしたことが分かった場合には、夜間に何回か嘔吐したけれども、朝になったらはかないのでとりあえず園に連れて行った等の行為は、流行を拡大させてしまいますのでぜひ慎みましょう。
急な嘔吐や下痢で病院を受診された場合、ノロウイルスが流行していることが分かっている場合は通常ノロウイルスがいるかどうかの検査はいたしません。周囲の状況と症状から診断しています。またもう一つの有名な胃腸炎ウイルスであるロタウイルスとの区別も治療法に違いはないため通常必要はありません。ごく稀に胃腸炎の症状かどうか判断がつきかねる場合や周囲にまったく流行がない場合は便を用いてウイルスがいるかどうかの抗原検査を行います。(この場合も保険診療上できるケースが限られています。)また登園していいかどうかのために、便の中にウイルスがいるかどうかの検査を行うことは保険診療上できません。
ノロウイルス感染症で重要なことは先にも御説明したようにご家庭でのケアと周囲への感染予防です。発症してから慌てることがないよう普段より対処法について心がけておきましょう。
RSウイルス感染症について
RSウイルスは毎年冬に流行する代表的かぜウイルスの一つです。ただ乳児期(特に前半)では細気管支炎という状態になったり、時に肺炎を起こすことがあり注意が必要な感染症です。今年は例年になく早く9月から全国各地で流行しだし、福井県でも10月から流行を認めています。
RSウイルスには、1歳までに半数以上、2歳までにほぼすべての子どもが初感染すると言われています。毎年繰り返し感染することも多く、繰り返すたびに症状は軽くなり幼児や学童では単なる風邪と区別がつかなくなります。
このウイルスに主に6カ月未満の乳児がかかると、最初は軽い咳や鼻水から始まり、数日後に細気管支炎という状態になってしまいます。細気管支とは肺の中の空気を通す管(気管支)の最も先の細いところをさしますが、ウイルスが感染すると、この部分がむくみ詰まってしまう状態になります。そうなると呼吸がしづらくなり、息づかいがぜーぜーしたり、胸がべこべこと大きな動きをした呼吸になります。ひどい場合は、お乳を飲むとむせるようになり、抱っこしていないと眠れなくなります。特効薬はなく、1週間前後で自然に治癒していきますが、呼吸が苦しい時や脱水状態があるときは入院を要する場合もあります。
乳児期早期の赤ちゃん以外にも、心臓の悪い子どもさんや未熟児でお生まれになった子どもさんにはやはり重症化する可能性があり注意が必要です。
このウイルス感染症は感染した人の鼻水や唾液から感染します。従って予防はよく手洗いすることが重要です。また、小さな赤ちゃんは人込みに入れない、かぜをひいている人に近付けない配慮も必要です。赤ちゃんと接する可能性のある人で咳が出ている場合は必ずマスクをすることも重要です。
RSウイルスに感染しているかどうかは、本人の鼻水をとって調べることが可能です。ただし、この検査を必要とするのは、一般的には症状のひどくなりやすい1歳未満の赤ちゃんに対して行い、幼児期以上の子どもさんには特別な場合を除いては行いません。
お薬についての大事なお話
みなさんは病気の時には必ずお薬を服用しないといけない、または服用した方が必ず早く治ると思っていませんか?そうではありません。むしろ子供がかかる多くの病気は人間の治癒力によって、自然に治癒していきます。私たち小児科医のもっとも大事な役目は、病気を正しく診断し、自然に治っていくものかどうかを判断し、本当に必要な場合のみお薬を使い、健康な体に戻ることを確認することです。
例えばかぜを引いた場合で説明してみましょう。かぜウイルスにかかると、人間の体はウイルスから自らの体を守るために、発熱物質を出し、体温を上げることにより、ウイルスがすみにくい環境を作りだします。ウイルスが侵入しやすいのどや鼻や気管支では粘膜が腫れるため、のどが痛くなり、鼻水が出たり、咳が出たりします。しかしこれらの症状はウイルスが体からいなくなるとともに通常は自然に消失します。早めに解熱剤や咳止め鼻水止めのお薬を飲めば軽く済むということはありません。鼻が詰まって、あるいは咳がひどくて眠りにくい、日常生活に支障が出るというときに咳を軽くする、鼻を詰まりにくくするお薬を使用すればいいのです。時にはこれらのお薬を使わないほうがいいときがあります。小さな赤ちゃんは自ら痰を切ったりすることができず、咳で痰を出しています。従って咳止めがかえって逆効果になることもあり注意が必要です。鼻が出るからといってよく処方される抗ヒスタミン剤(ぺリアクチン、テルギンG、セルテクト、ザジテンなど多種類あります。)はかぜの鼻水にはほとんど作用がないばかりか、効率にねむけ、集中力の低下をもたらします。風邪薬を飲んでいる最中子どもさんが眠ってばかりいることを経験したことはありませんか?抗ヒスタミン剤の説明書きには必ず車の運転を控えるように書かれています。小さな子どもさんの場合、眠気なら親は分かるでしょうが、集中力が低下しているかどうかの判断は難しいものです。少し鼻水が垂れていたとしても、頭がボーとするようなお薬はたとえ赤ちゃんでも極力避けたいところです。もう一つこの抗ヒスタミン剤には注意すべき点があります。それは内服したお薬が脳に移行し熱性けれんなどのひきつけを起こしやすくする可能性があることです。従って過去にひきつけを起こしたことがある乳幼児の子どもさんは内服を避け、それ以外の子どもさんでも2歳未満の方には極力避けたほうがいいといわれています。この点については日本小児科学会認定小児科専門医以外の先生方にはまだ認識が十分浸透していない可能性があります。これらのお薬は感冒のみならず、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎のかゆみ止めとしてとても頻用されているお薬です。特に長期内服に際しては、服用によるメリットが十分デメリットを上回るのか、医師がこれらの副反応を十分理解したうえで使用しているのか、漫然と処方されていないか(どうなれば内服しなくていいのか)等を十分説明を聞いた上で服用するようにしましょう。
最近はめっきり少なくなりましたが、以前はかぜをひいたときに念のためといって抗生物質がよく処方されました。抗生物質は細菌をやっつけるお薬で風邪ウイルスにはまったく作用しないばかりか、自分の体に耐性菌といって、お薬に抵抗力のある細菌を作りだし、肝心なときにお薬が効かなくなってしまう可能性があります。以前は私もこのような処方をしていた時期がありましたが、上記のようなことがはっきりと分かり、今は本当に必要かをしっかり見極めて使用するように心がけています。
どんなお薬でも副作用のないものはありません。お薬なしで治るものであればそれに越したことはないのです。大事なことはお薬が必要かどうかを十分に見極め、本当に必要なときには最小限のお薬を服用することだと思います。処方に対して不安な点や疑問等があるときには遠慮なくおっしゃってください。
インフルエンザワクチンの有効性について
インフルエンザは急な発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、その後咳、鼻水などが出現し、約1週間程で治癒するウイルス感染症です。通常は特に治療をしなくても少しつらいのを我慢すれば大抵は自然に治ってゆきますが、時に熱性けいれんや肺炎、脱水症をおこしたり、1歳から小学校前の幼児を中心にして急性脳症が起こることがあります。(年間100~200例ほど)2009年に新しいタイプのインフルエンザ(H1N1)が出現し大騒動になりましたが、幸いなことに通常の季節性インフルエンザと変わらない弱毒性であることが分かり、新型であっても通常のインフルエンザとしての対応でよいことが分かりました。
インフルエンザの予防策としては、毎年10月ごろより希望者を対象に全国的にインフルエンザ予防接種が行われています。老人や成人ではその発症阻止作用や死亡阻止作用は高く、すでにワクチンの有効性も確立されたといえます。私たち小児科医は、子供においても少しでもインフルエンザの重症化を防ぎ、脳症を予防してくれることを期待して毎年ワクチン接種を勧めていますが、その作用は残念ながら成人程ではないようです。平成12~14年に厚生省の研究班が行った調査では、6歳未満のインフルエンザの発症阻止作用は20~30%(※1)であろうと報告しています。インフルエンザ脳症についても現段階では明らかな作用は確認されていません。
以上をまとめてみますと、インフルエンザの予防接種の作用は、成人、老人では確立されているものの、年齢が低くなるにつれて有効率が低くなっていく可能性があり、小学生では発症阻止作用はおおよそ50%ほど、それ以下の年齢では20~30%程と理解していただければいいでしょう(※2)。また1歳未満の作用についてはさらに評価が定まっていませんので当院では基本的にはお勧めしていません。2011年度より1回接種量が小児では欧米並みにかなり増量され、従来より少しは有効率も向上するかもしれません。インフルエンザワクチンは時に局所の腫れを認める程度で重篤な副反応はないといわれています。毎年打ち続けることによる経年的な作用や重症化阻止作用などまだ十分検討されていないところで作用を発揮している可能性もあります。従ってワクチンの予防作用としてこの程度でも十分と納得できれば接種されていいでしょう。一方そんなに低いのかと思われる方は見合わせるのが妥当でしょう。もちろん心臓や呼吸器に病気のある方や、家族にご高齢の方がいらっしゃる場合は接種を受けるべきと考えます。
(※1)6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。
出典:「平成30年度インフルエンザQ&A」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
(※2)平成30年11月08日時点、乳幼児のインフエルエンザワクチンの有効性に関しては、報告によって多少幅がありますが、概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。
出典:「平成30年度インフルエンザQ&A」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html